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栄養・サプリ

耐容上限量とは。サプリで取りすぎに気をつけたい成分の見方

耐容上限量は、健康障害をもたらすリスクがないとみなされる、習慣的な摂取量の上限です。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」で上限が定められている16の成分と成人の値、上限が無い成分の受け止め方、サプリのラベルで合計量を確かめる順番をまとめました。

文:古川 竜二 更新 2026年10月 読了 6分

マルチビタミンに亜鉛のサプリを足そうとしたとき、ラベルの量が多すぎないか気になることがあります。目安になるのが、厚生労働省「日本人の食事摂取基準」の耐容上限量です。健康障害をもたらすリスクがないとみなされる、習慣的な摂取量の上限を指します。2025年版では16の成分に定められていて、サプリで確かめるときは、食事とほかのサプリを含めた1日の合計で比べます。

当サイトのサプリ比較にも、1日量が耐容上限量を上回る可能性のある一部の成分に「※」の印があります。ただし、これは日本の商品とiHerbの商品を比べるための目印です。あなたが食事やほかのサプリから取っている量までは含めていないので、取りすぎかどうかの判断には使えません。

耐容上限量の意味

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」は、耐容上限量を「健康障害をもたらすリスクがないとみなされる習慣的な摂取量の上限」と定義しています。これを超えて摂取すると、過剰摂取によって生じる潜在的な健康障害のリスクが高まると考えます。英語では tolerable upper intake level と呼び、略して UL と書かれます。

値は、健康障害が出なかった量や、出たことが分かっている最も少ない量を、不確実性因子という数で割って決められています。ヒトの報告が少なく、動物実験の結果に頼る場合もあるためです。

同じ資料によると、耐容上限量の算定は理論と実験の両面で極めて難しく、多くは少数の発生事故事例を根拠にしています。そのため耐容上限量は「これを超えて摂取してはならない量」というより、「できるだけ接近することを回避する量」と理解できる、という説明です。上限の少し手前までなら取ってよい、という目標の量ではありません。耐容上限量は健康の保持や増進のために設けた指標ではない、とも書かれています。

一方で、通常の食品を食べている限り、耐容上限量を超えて摂取することはほとんどあり得ない、とも説明されています。気をつけたいのは、少量で多くの成分を取れるサプリです。

耐容上限量が定められている成分(18歳以上)

2025年版で耐容上限量が定められているのは、ビタミン6つとミネラル10の、あわせて16の成分です。下の表は、18歳以上の値を報告書の各成分の表から書き写したものです。年齢区分で値が変わる成分は、範囲で示しました。

成分 男性 女性 報告書の注記
ビタミンA 2,700μgRAE 2,700μgRAE プロビタミンAカロテノイドを含まない
ビタミンD 100μg 100μg
ビタミンE 800mg 650〜700mg α-トコフェロールについて算定
ナイアシン 300〜350mg 250mg ニコチンアミドの重量
ナイアシン(ニコチン酸) 75〜85mg 60〜65mg ニコチン酸の重量
ビタミンB6 50〜60mg 40〜45mg ピリドキシン相当量
葉酸 900〜1,000μg 900〜1,000μg 通常の食品以外の食品に含まれる葉酸に適用
カルシウム 2,500mg 2,500mg
マグネシウム 350mg 350mg 通常の食品以外からの摂取量に適用
リン 3,000mg 3,000mg
亜鉛 40〜45mg 35mg
銅 7mg 7mg
マンガン 11mg 11mg
ヨウ素 3,000μg 3,000μg 妊婦と授乳婦は2,000μg
セレン 400〜450μg 350μg
クロム 500μg 500μg
モリブデン 600μg 500μg

18歳未満では、多くの成分で値が小さくなります。たとえばビタミンDは、1〜2歳で25μgです。子どもに飲ませるときは、大人の値を当てはめないでください。ビタミンDの目安量と、μgとIUの換算は、ビタミンDの1日の摂取量と上限の記事にまとめています。

妊婦と授乳婦の欄は、ヨウ素を除いて「−」になっています。値が示されていない理由は、この表からは読み取れません。妊娠中や授乳中の方は、自分で判断せず、医師に相談してください。

同じ成分でも、形で上限の扱いが変わる

表の注記にあるとおり、いくつかの成分は、どの形の成分に上限を当てるかが決まっています。

ビタミンAの上限は、ベータカロテンのようなプロビタミンAカロテノイドを含まない値です。ナイアシンは、ニコチンアミドで見るかニコチン酸で見るかで、上限が4倍ほど違います。ラベルにどちらの名前が書かれているかを確かめてください。

葉酸とマグネシウムの上限は、サプリなど通常の食品以外から取る分だけに当てます。食事から取る分には上限が設定されていません。それ以外の成分の上限は、食事とサプリを合わせた量に当てます。

上限が無い成分も、多く取ってよいわけではない

ビタミンCやビタミンB1、ビタミンB12のように、耐容上限量が「−」になっている成分もあります。これは、十分な科学的根拠が得られなかったので設定していない、という意味です。2025年版の総論には「十分な科学的根拠が得られない栄養素については設定しない」と書かれています。

子どもの欄についても、総論は同じ注意を書いています。情報が乏しく、算定できないものが多かったという記述です。そのうえで、多量に摂取しても健康障害が生じないことを保障するものではない、と注意しています。

鉄も、2025年版では耐容上限量が示されていません。鉄の扱いの変わり方は、メガビタミン健康法とATPセットとは?の記事で触れています。

内閣府の食品安全委員会も、2015年に「健康食品」についてのメッセージをまとめています。その中で、ビタミンやミネラルをサプリから取ると過剰摂取のリスクがあるとし、特にセレン、鉄、ビタミンA、ビタミンDには要注意と書いています。鉄のように上限の値が無い成分も、この中に入っています。

サプリのラベルで合計量を確かめる順番

耐容上限量と比べるときは、次の順番で確かめると、取り違えを減らせます。

  1. 成分の名前と形を確かめる。ビタミンAはレチノールとベータカロテンのどちらか、ナイアシンはニコチンアミドとニコチン酸のどちらかを見ます。
  2. 1日に飲む量あたりの量に直す。1粒あたりの量しか書かれていなければ、1日の粒数をかけます。mgとμgとIUの読み方は、サプリの成分表示の読み方にまとめました。
  3. 飲んでいるサプリをすべて書き出し、同じ成分の量を足す。マルチビタミンと単体のサプリを一緒に飲むと、同じ成分を二重に取っている場合があります。
  4. 食事から取る分を足す。葉酸とマグネシウムは、サプリなど通常の食品以外から取る分だけで比べます。

足した量が耐容上限量に近いときや超えるときは、医師や薬剤師に相談してください。持病がある方や薬を飲んでいる方、妊娠中や授乳中の方は、量にかかわらず、飲み始める前に相談してください。

食事摂取基準は、習慣的な摂取量の基準を1日あたりで表したものです。1日だけの食事の基準を示すものではありません。1日だけ多く取ったかどうかより、毎日続けている量で考えてください。

国立健康・栄養研究所がすすめていること

国立健康・栄養研究所の「健康食品」の安全性・有効性情報は、過剰摂取を防ぐために次のことをすすめています。

  • パッケージに書かれた摂取方法や目安量を守り、自己判断で量を増やさない。
  • 何を、いつ、どのくらい取ったかと、そのときの体調を記録する。
  • 知らないうちに同じ成分を重ねて取らないよう、複数の健康食品を同時に使わない。
  • 分からないことは、医師や薬剤師、管理栄養士、健康食品のアドバイザリースタッフに相談する。

同じページは、薬を飲んでいる方は、医師や薬剤師に相談するなどして、健康食品の利用を慎重に検討するよう書いています。サプリと薬の組み合わせは、自分で判断しないでください。


この記事は、公的機関の資料に書かれている内容を紹介するものです。個別の摂取量の判断や、体調についての助言はしていません。サプリの量や組み合わせは、医師や薬剤師にご相談ください。

出典・参考
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